■研究の概要
血液の分子が脳に侵入すると神経細胞に多大なる悪影響を与えます。例えば、食物に含まれているグルタミン酸は、脳神経には強い興奮作用があり細胞死をおこします。ゆえに、脳の血管系は血液脳関門により自由な分子移動を制限しています。多くの脳疾病において、血液脳関門の破綻とそれによる血管透過性亢進、神経細胞死を引き起こすことが知られています。よって、血管透過性を調べることは脳疾病の研究において重要であります。一般に、低分子トレーサーとしてFluoresceinやEvansBlueなどの蛍光物質が血管透過性評価に良く用いられています。しかし、蛋白質などの高分子トレーサーは、アルデヒドなどで固定可能であるのに対し、これらの低分子トレーサーは固定不可能で、サンプル作製過程で移動・拡散が生じます。そこで、アミノ基に結合能を持つFluorescein誘導体Fluorescienisothiocyanate(FITC)を用い、組織への固定が可能な低分子トレーサーの血管透過性評価方法を開発しました。