例外規定の適用が認められた場合であっても、本人の出願前に、第三者が特許出願する、あるいは発明内容を公表することで特許取得ができなくなるリスクや、外国出願において出願国が一部の国(米国、カナダなど)に限られるなどのデメリットがあります。
このことから、本学におきましては、原則として、公表済みの発明を承継せず、「新規性喪失の例外」規定の適用を受けた特許出願は行わないこととしております(ただし、公表の如何にかかわらず、発明等を創出された場合には学内の届出手続が必要です)。諸々の事情により研究発表の直前まで発明の届出ができない場合は、以下の手順を踏み、発表会(発明に係る発表部分のみでも可)を非公開で行うことを推奨します。
なお、上記手続を行うことが困難な場合は、発表前の早期の段階で知的財産戦略室へご相談ください。(通常、特許出願準備には最短で2~3ヶ月を要します。)
特許の対象となる発明には、未公表の新しさが求められ、この新しさを「新規性」といいます。通常、特許出願をする前にその内容を公表すると「新規性」は失われ、特許を受けることができなくなります。
しかし、特定の条件の下で発明を公開した後に特許出願した場合には、先の公開によってその発明の新規性が喪失しないものとして取り扱う規定が設けられています。(特許法第30条「発明の新規性喪失の例外規定」)
ただし、この規定はあくまでも特許出願より前に公開された発明は、特許を受けることができないという原則に対する例外規定です。仮に出願前に公開した発明についてこの規定の適用を受けたとしても、例えば、第三者が同じ発明について先に特許出願していた場合や先に公開していた場合には特許を受けることができませんので、可能な限り早く出願することが重要です。
また、海外への出願を予定している場合には、各国の発明の新規性喪失の例外規定にも留意する必要があります。各国の国内法令によっては、自らが公開したことにより、その国において特許を受けることができなくなる可能性もあります。
以上のことから、「発明の新規性喪失の例外規定」の適用はあくまでも非常措置であり、発表前に特許出願を行うことがベストであることを充分ご理解ください。
(参考)特許庁ホームページ「特許法第30条(新規性の喪失の例外)について」