産学連携

【歩行学習支援ロボット】

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この成果により解決が図られた現在社会が直面する課題

 現在、高齢化などにより何らかの歩行障害を抱える人が増加傾向にある。こうした人々の歩行機能改善を図り自立した生活への復帰を目指すことが重要であるが、どのように歩けば良いのかについて口頭で説明して理解を得ることは非常に困難である。また、歩行機能の低下は易疲労性や転倒リスクの増加、活動量の低下、廃用症候群を引き起こすリスクを高め、最終的には訓練もままならなくなって重症化してしまうという問題がある。

成果

 京都工芸繊維大学と京都大学、佛教大学、関西医科大学、サンコール株式会社、大日本印刷株式会社は、共同研究により歩行に何らかの障害を抱える方の膝関節をその人の歩行状態に合わせた適切なタイミングでアシストすることで正しい歩容を学習でき、装着も非常に簡単な歩行学習支援ロボット「Orthobot」を開発し製品化した。

実用化まで至ったポイント、要因

 本機器は、京都大学医学研究科人間健康科学系専攻の歩行困難者に対するリハビリテーションやリハビリテーションロボットについての医学的知見を踏まえた着想をもとに、京都工芸繊維大学で歩容の位相角に着目した制御アルゴリズムが構築し、サンコール株式会社と大日本印刷株式会社が中心となって機器を開発した。機器の評価は京都大学、佛教大学および関西医科大学で行った。

研究開発のきっかけ

 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)「活力ある生涯のためのLast 5X イノベーション」の支援による研究テーマの一つとして共同研究が始まったことによる。

民間企業等から大学等に求められた事項

 歩行学習支援ロボットの核となる独自の制御アルゴリズム開発と評価を依頼された。

技術の新しい点、パフォーマンスの優位性

 歩行学習支援ロボット「Orthobot」は、既存の長下肢装具(KAFO)にアタッチメントとして取り付けることによりKAFOをロボット化する機器であり、既存の機器よりも短時間かつ簡便に装着できるようになった。また、本機器は加速度およびジャイロセンサにより大腿姿勢角とその角速度情報を計測し、これらから得られる大腿揺動に関連する位相角から時々刻々の歩行状態を推定することで、予め設定されたトルクパターンに合わせた補助トルクを膝部分に設置されたモータにより発生させる制御アルゴリズムを内蔵している。このことからどのような歩行速度や歩幅であっても適切なタイミングでアシストすることができ、装着した人が自分の歩行ペースで正しい足の動かし方を体感しながら効果的な歩行トレーニングができるようになる。

ファンディング、表彰等、参考URL

 助成:
 本研究は、革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)拠点(国立研究開発法人科学技術振興機構:JST)

 「活力ある生涯のためのLast 5X イノベーション」の支援を受けて行われた。

 表彰:
 第62回⾃動制御連合講演会 優秀発表賞(幹事学会:日本機械学会)、西川雅雄(京都工芸繊維大学)2019/11/9

 https://www.jsme.or.jp/conference/rengo62/doc/award/PresentationAwards.pdf

 第52回全国理学療法学術大会 奨励賞(日本理学療法士協会)、川崎詩歩未(京都大学大学院医学研究科)

 参考URL:
 京都工芸繊維大学 研究成果 新着情報
 https://www.kit.ac.jp/2019/12/news20191217/

 京都大学 COI研究成果ページ
 http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2019/191211_1.html



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