▼詳細
■研究の概要
コンクリート構造物に生じるクラックの発見は、構造物の安全を守る上で極めて重要です。その診断は様々な手法によって行われていますが、検査範囲が広大である場合には目視による検査は多大な困難を伴います。本研究の目的は、コンクリート表面に現れているクラックを、画像情報から自動的に抽出するシステムを構築することです。
本手法は、クラック画像をフラクタル性の強い、尾根状の明度分布を持った図形であると見なし、その尾根の断面形状をなぞる検出関数を用いた尤度比検定を行うことで、クラックの有無を判定します。検出関数の広がりや高さを変えることで、様々な太さのクラックを識別することが出来、また、統計的に処理を行うことでコンクリート面に付着した汚れなどの雑音成分にも強いという特徴があります。コンクリート表面には様々な人工物(パイプ、窓枠、コンクリートの継ぎ目など)が設置されたり表出したりしており、本手法では直線的な人工物の輪郭なども判別し誤検出を極力抑える工夫を行っています。