▼詳細
■研究の概要
カイコの繭は一本の長い糸がつなぎとめられたものであり、繭糸の内層は絹フィブロイン、外側はセリシンのタンパク質層でできています。繭を高温水で煮たり(煮繭)、アルカリ処理(精練)することでセリシンを除き、生糸は作られます。すでに我が国では、生糸需要は低落していますが、繭もしくはカイコ個体をタンパク質生産の目的で利用する動きが活発化してきております。また、今から20年ほど前に、本学で初めて遺伝子組換えカイコの技術が生み出され、現在までに操作法の改良が進み、多数の興味深い性質のあるカイコが作り出されて来ています。そこで、我々は、独自の遺伝子操作方法を駆使して、セリシンだけでできた繭と、フィブロイン含有量が非常に高い繭(高フィブロイン繭)を作るカイコを生み出しました。これら特殊な繭から、変性させることなしに、セリシン・フィブロイン素材を取り出すことができるため、化粧品・細胞培養の用途で活用できるタンパク質素材が繭から容易に取れるようになりました。