▼詳細
■研究の概要
■背景
■昆虫の摂食行動は、日齢、時刻、満腹レベル、栄養要求など生理状態の影響を受けますがその調節メカニズムの全容は明らかではありません。
■キイロショウジョウバエの突然変異TW1系統を飢餓状態に置くと、ショ糖に対する感度が100倍以上鋭敏になります。
■目的
■ショウジョウバエ体内の糖組成を明らかにし、飢餓状態における糖代謝の変化、およびその摂食感度に対する影響を明らかします。
■低濃度のショ糖を摂取する生理的意義を理解します。
■内容
■様々な濃度のショ糖溶液を与え、TW1と野生型(Mel6)個体の生存率を比較しました(図2)。水のみ、あるいは高濃度のショ糖を与えたとき両者には差があ りませんが、10mMショ糖ではTW1の方が2倍以上長生きしました。TW1は低濃度のショ糖を摂取しエネルギー源として利用できます。
■ショウジョウバエ体内の糖分子をHPLCにより検出し、組成を調査しました(図3)。羽化後の個体に高濃度のショ糖を与えると、TW1では直後にトレハロース量が増加しました。通常摂食では、TW1と野生型とも組成に大きな違いはありませんが、トレハロース濃度はTW1の方が高かった。
絶食下では、両者ともトレハロースは24時間後には微量となりました。グルコース量は野生型では比較的安定に保たれましたが、TW1では大きく増減し48時間でほぼ消失しました。
■TW1では、グルコースやトレハロースの濃度の恒常性になんらかの異常がある可能性が示唆されました。