▼詳細
■研究の概要
スマート農業、あるいは精密農業と呼ばれるものが注目を集めています。農場において、気温・湿度・照度・日照時間・土壌温度・土壌含水量・pHなど環境諸量の測定データ、灌水・施肥・剪定・農薬散布などの農作業内容の記録、作物の糖度・酸度・その他栄養素の測定データを集め、それらの解析等によって熟練者の栽培ノウハウを暗黙知から形式知に変えて栽培管理を行い、収量・品質の向上及び環境負荷低減を総合的に達成しようとするものです。
集積したデータを解析すること、その活用法、および農業従事者にわかりやすい形で提示することなどについては多くの方が取り組んでいます。圃場情報獲得のためには、比較的小さな区画毎に設置した多数のセンサーからの計測データを逐次集め、ビッグデータとして扱わなければならないほどの多量のデータを分析しなければなりません。計測機能と無線機能をもったセンサノードはネットワークに接続されますが、ワイヤレスネットワーク設計のためには、電波伝搬特性、特に電力損失を知ることが重要です。ビルが建ち並ぶ市街地においては古くより調査・解析され、LTE、4Gなど移動通信網の設計に使用されてきました。しかし農場における電波伝搬については十分な資料があるとはいえず、実際に無線センサノードを設置する際に、その配置や送信電力の設計ができない状況です。作物(植物)が電波伝搬を妨げる環境における無線通信システム構築のために、その環境に特化した電波伝搬特性の調査・解析が必要です。