▼詳細
■研究の概要
稲藁や廃材木などのリグノセルロース系バイオマスからのバイオ燃料の製造は、食糧資源と競合しないことや未利用資源活用の観点から需要と製造規模の拡大が期待されている再生可能エネルギーです。酵母によるアルコール発酵をおこなう際には、酸や加圧熱水によるバイオマスの糖化処理が必要となりますが、その際に、酵母の生育・発酵を阻害するフラン化合物やフェノール化合物などが副産物として生成してしまいます。これらの発酵阻害物質が酵母細胞に及ぼす作用分子機構を解析したところ、酸化的ストレスを引き起こすだけでなく、mRNPgranuleの形成を誘導し、タンパク質合成やmRNAfluxを阻害することがはじめて明らかとなりました。今回得られた新しい知見をもとに、mRNPgranuleを発酵過程の管理指標として活用することや、発酵阻害物質に耐性を持つ優良酵母の分子育種などに取り組んでいます。