■研究の概要
電磁メタマテリアルとは、波長よりも十分小さな微細構造を組み合わせた人工構造体です。このような構造体を用いることで、自然には存在しない特異な電磁応答を実現することができます。ここで、特異な電磁応答とは、例えば「負の屈折率」や「隠れ蓑(クローキング)」などの現象を指します。このようなメタマテリアルに磁性体を組み込むことで時間反転対称性を破り、同時に微細構造の幾何学的形状の空間反転対称性を破ると、電気磁気光学効果や磁気カイラル効果と呼ばれる特殊な電磁現象を実現することができます。これらの現象を用いると、電磁波の入射方向によって入射波の透過率を制御することができます(非相反性)。
更に、透過率は入射波の偏波状態に依存せずに制御することができます。本研究では、このようなメタマテリアルの時空間制御を通じて電磁波の伝搬制御を行い、超微細なアイソレーターなどの応用を目指しています。加えて、熱輻射を担う赤外線に応用することで、一方向だけに熱を通すスマートウィンドウなどの高機能光学素子も研究しています。