▼詳細
■研究の概要
精密ラジカル重合の一つである可逆的付加開裂連鎖移動機構に基づくRAFT重合は、対象モノマーが広範囲であることや、極性溶媒中での重合など幅広い重合条件下において構造の明確なポリマーの精密合成が可能です。また、原子移動ラジカル重合(ATRP)とは異なり遷移金属触媒痕が生成物に残存することがないため、電子材料やバイオメディカル分野での利用に有効であると期待されます。一方、二種以上のモノマーのone-pot重合で得た共重合体においては、組成にバラツキがあると、組成の偏りによって溶解特性が異なるなど、実用的な観点からも問題が生じる場合があるため、組成が均一でかつ分子量分布の狭い多成分系共重合体の合成が重要です。本研究では、RAFT重合による組成均一共重合体の合成を目的としています。さらに、RAFT重合で得たポリマーは末端に連鎖移動剤であるRAFT剤の残基を有しているため、この官能基変換によって新たな末端官能性ポリマーを創出できると期待されます。