▼詳細
■研究の概要
生物には階層的な表面構造により多様な機能を発現している例が多数あります。本研究では、トップダウン型のナノテクノロジーであるナノインプリント法とボトムアップ型の精密グラフト重合法を融合することで、階層的表面構造を有するフィルム材料を作製します。特徴の1つ目はナノインプリント法において貫通型陽極酸化ポーラスアルミナ(AAO)を用いる点です。この鋳型の細孔構造を転写することで、垂直固定化された多数のピラー構造からなるフィルムを作製できます。さらに2つ目の特徴は、作製したピラーフィルムに表面開始精密グラフト重合を施すことで、個々のピラー表面がポリマー鎖で修飾された階層的構造へと変換可能な点です。ピラーの直径や長さと面内配列、そしてグラフト修飾するポリマーの鎖長や化学構造(=側鎖の機能基)を幅広く選択可能なため、構造設計次第で超撥水・撥油性、超親水性、接着性などを付与できると期待されます。さらに、グラフトポリマー鎖の構造設計により親水⇔疎水の反転など外部刺激応答性を付与することもできます。また、特異な階層的表面構造モルホロジーに基づく細胞培養材料としての可能性も有しています。