▼詳細
■研究の概要
動力伝達機構として用いられる機械要素の一つである歯車は、通常、ギヤボックス内で高速回転しているため、その状態を直接観測することは困難です。そのため、歯車対がかみ合う際の振動を計測・解析することで間接的に状態を観測することが行われてきました。しかしながら、機械の故障回避、適切なメンテナンス時期を判断するためには、歯車の"損傷の予兆を検知"することが重要であり、それを実現するためには歯車に直接状態量を監視するシステムを組み込む必要がありますが、市販されているひずみゲージ等のセンサを複雑な形状を有する歯車に貼付することは困難であり、また、高速回転する歯車からセンシングした値を取り出すことは簡単ではありません。
そこで本研究では、複雑な形状を有する歯車等の機械要素の表面に、銀ナノ粒子を含有するインクを吹き付け、それを多軸のレーザー加工機によって焼結することで導電特性を持つ電気回路を印刷する技術を開発しました。この技術を利用して、歯車の状態、例えば、歯車歯元の応力を監視するセンサ、そしてセンサからの情報を無線で発信するためのアンテナを歯車の表面上に直接印刷することで、自らの状態を監視することが可能なスマートギヤの開発を行っています。