▼詳細
■研究の概要
メタマテリアルは、材料固有の特性だけでは実現困難である特異な電磁波伝搬を、波長に比べて小さなスケールの素子からなる人工構造体の構造設計により実現する設計技術です。実効屈折率が0の構造体を伝送線路共振器に用いると、共振周波数が共振器のサイズに依らない0次共振器を構成できることは、これまでにも良く知られていましたが、両端短絡(電気壁)の場合と、両端開放(磁気壁)の場合の2つのケースしか検討されていませんでした。私たちのグループでは、この2つのケースも含めて、複素共役な関係のリアクティブ素子対が両端に挿入された、より一般的な共振条件を見出しました。リアクティブ素子の値は任意に選ぶことができ、さらに連続的に変化させることで、2つの異なる共振状態を共存させ、しかも各共振部分に蓄えられるエネルギーの割合を自由に操作できることもわかりました。さらに私たちは、この0次共振器をアンテナに応用することにより、両端条件を操作するだけで、放射波の主偏波を所望の方向に回転制御できる指向性アンテナを提案しています。