▼詳細
■研究・技術のプロセス/研究事例
(漏れ電流マイクロセンサの作製)
センサの作製にはSiO2膜(厚み1μm)付きの2インチSiウェハ(厚み280μm)を用いました。シリコンの異方性エッチングにより液滴を保持するキャビティを形成し、表面を熱酸化して電気的絶縁した後電極を形成しました。各工程でのセンサ断面図の模式図、作製したセンサチップの写真等を図3、4に示します。センサの大きさは14mm角、キャビティの深さは100μm、開口部の幅は500μm~2mmの範囲で四段階としました。電極はPt/Ti薄膜をスパッタリングにより製膜し、リフトオフによりパターニングしました。
(漏れ電流の測定方法および結果)
漏れ電流の測定は、まずマイクロピペットを用いキャビティ部分に電解質封入リポソーム液滴を固定化し、そこにタンパク質を滴下します。この時生じる相互作用による漏れ電流を半導体パラメータアナライザ(Agilent4156B)により測定しました。漏れ電流測定断面図を図3に、漏れ電流検出波形を図5に示します。電流のピーク値の大きさを漏れ電流値として評価します。
添加タンパク質である炭酸脱水酵素:CarbonicAnhydrasefromBovine(CAB)濃度依存による漏れ電流を測定しました。測定に使用した電解質内包リポソーム溶液の濃度は100?M、CABを変性させるためにGuHClを0.5M添加しました。測定に用いたセンサの電極間距離は500μm、溶液の体積は1μLであり、この条件で添加するCABの濃度を0M、0.4μM、1.0μMとして漏れ電流値を測定しました。測定結果を図6に示します。CAB濃度を上げていくと漏れ電流が大きくなっており、CAB濃度に依存してリポソームとの相互作用が増大することが示唆されます。
一方インピーダンス評価(図7)においてもその相互作用に対応する変化が検出できています。
*本研究は大阪大学大学院基礎工学研究科バイオプロセス工学研究室との共同研究で、リポソームの調製・供給は同研究室の協力を得て行っています。