京都工芸繊維大学 産学公連携推進センター

■研究の概要

　マイクロプラスチックに代表される使用済みプラスチックがもたらす環境汚染が深刻視されています。この原因の一つとして、プラスチックの低いリサイクル性が挙げられています。ほとんどのプラスチックは、加熱して溶融成形されていますが、その際に高分子鎖の熱分解を伴うため、成形加工を繰り返すと物性が低下してしまいます。本シーズの高分子材料は、加熱ではなく加圧によって常温付近で成形加工が可能なため、高分子鎖の熱分解が生じません。よって、省エネルギー成形（CO₂排出低減）とリサイクル性の向上を同時に達成することができる全く新しい概念によって創成された高分子材料です。また、再生可能資源から合成することができ、生分解性を有しているため、環境負荷も低減可能な次世代の高分子材料です。

■研究の概要

　地球温暖化及び気候変動抑制のためにCO₂排出量の早急な低減が求められています。そのためには、火力発電所などの大規模CO₂排出源のみならず、あらゆる排出源からのCO₂分離回収が求められています。そして、分離回収されたCO₂は、有価物などへの転換による有効利用や地中貯留によって処理（CO₂　Capture,Utilization, and Storage, CCUS）されます。CCUSの実用化には、CO₂分離回収に要するエネルギー/コストの低減が必須であり、省エネルギー分離技術である膜分離法が次世代のCO₂分離回収技術として着目されています。本研究室で研究開発されたCO₂分離膜は世界トップレベルのCO₂分離性能を発揮し、容易に膜モジュール化することにも成功し、実用化のための実証試験を行なっています。

■研究の概要

　近年自動車分野を中心に、省エネルギー化や環境負荷の低減を目的に様々な材料の軽量化が進められています。このような背景の中、優れた力学的特性を持つ繊維材料によって強化した繊維強化樹脂複合材料（FRP）の活用に注目が集まっています。しかし、高性能を有する複合材料は量産することが非常に難しく、量産製品への適用には至っていないのが現状です。当研究室では、以上の問題点を解決し、軽量で高性能な構造部材を世の中に提供することを目的として、リサイクル性を有し二次加工を行うことができる熱可塑性樹脂を用いた高性能な複合材料（c-FRTP）の量産プロセスやハイサイクル接合技術に関する研究を行っています。

■研究の概要

　照明器具や信号機のLED化が進んでおり、これを利用した可視光無線が次世代通信方式として期待されています。既存の照明機器を利用するため省エネルギーで地球に優しく、また、電波法の規制がないため、どこでも簡単に通信環境を構築することが可能といった利点があります。高度化するITSシステムやGPS、電波が使用できない病院内での通信網としても期待されています。
　本研究では、信号機やLED照明を光源とし、本来の照明要件を妨げずに通信が可能で、かつ雑音への耐性が高い高速大容量通信方式の開発を行っています。特に、雑音による信号劣化を抑えることができる通信方式として符号拡散変調を応用した通信方式を提案しています。また、提案方式を用いたLED信号機による屋外可視光無線通信システムの設計・評価を行い、屋外180mの距離にて良好な通信品質が得られることを実証しました。