▼詳細
■研究の概要
気体のように素早く高分子内部に浸透し、液体のように物質を運ぶことのできる超臨界流体を用いた高分子材料の加工の研究です。超臨界流体の中でも比較的温和な条件で超臨界状態になる二酸化炭素を利用しています。高分子材料は超臨界二酸化炭素中で柔らかくなり膨張するので、通常の溶媒では注入できない、あるいは少量しか注入できない機能剤を高分子表面や内部に多く注入することができます。この柔らかく膨らんだ材料は、超臨界二酸化炭素から取り出すことで、もとの状態に戻るため、注入された機能剤がしっかりと内部にトラップされ機能の耐久性が高くなります。注入時の条件、例えば二酸化炭素の圧力や温度を連続的に変化させることで傾斜材料の調製も可能です。機能剤としては低分子の化合物から、条件によっては分子量5000程度の高分子を注入することもできます。
装置は単純で、オートクレーブのような高圧容器に液体クロマトグラフ用の送液ポンプと加熱システムを組み合わせたものになります。さらに、実験の目的に応じて攪拌システムや溶解槽、調圧バルブ、機能剤の連続注入システムなどを追加します。分析が必要な場合は、分光光度計やIRを組み込むことも可能です。