▼詳細
■研究の概要
■背景
プラズマを用いて殺菌処理が可能です。プラズマにおける殺菌のメカニズムを解明すると共に新しい医療技術としてのプラズマの可能性を探ります。生体細胞にプラズマを照射することにより、生体に刺激を与えられることがわかってきました。治療や細胞操作のための新たな方法として、プラズマを利用できることを願っています。
■目的
大気雰囲気下でプラズマを発生させ、芽胞菌の殺滅を試みてきました。これはプラズマ滅菌技術の開発を前提としたものです。芽胞菌は通常はオゾン処理では死滅せず、死滅させるためには高温高圧処理や放射線処理など、比較的コストのかかる方法が必要とされます。低温で行う大量の器具に対する滅菌処理を開発するために、研究を重ねています。
■内容
芽胞菌(G.stearothermophilus)の殺滅に関して、加熱処理とプラズマ照射についてそれぞれの効果を検証しました。加熱処理では、200℃を超える温度(試料表面において測定)でなければ滅菌されないのに対し、プラズマ照射では100℃以下の温度でも滅菌されることがわかりました。
また、筋肉の細胞に対してプラズマを照射した時には、細胞は死滅するのではなく、ある機能を活発化させることがわかっています。
プラズマが細胞へ与える影響を明らかにするために、細胞表面の元素組成並びに化学結合分析(X線光電子分光法)を行います。この分析により、細胞表面において、水素原子の脱離、酸素原子の付加、アミノ基やピラノース環の変性などがプラズマの影響として起こることがわかりました。
大気圧雰囲気下でプラズマを発生させることにより、あらゆるもの(生体、液体、材料表面など)に電子、イオン、化学的活性種(オゾンや活性酸素など)を供給することができます。プラズマと生体との相互作用を理解し、新たな技術を提案することを目指します。
■応用
・大気雰囲気下で電子、イオンを発生させることができます。
・化学的活性種(励起分子・原子)を発生させることができます。
・好熱性細菌に対する殺菌処理が可能です。
・生体細胞に対して刺激を与えることが可能です。
・細胞表面の化学処理(官能基の付加など)が可能です。
・将来展望
・紫外線照射よりも効果的に水虫治療ができるかもしれません。
・水や薬剤を使わずに洗浄できるかもしれません。
例えば、プラズマ洗髪。
・プラズマを照射することにより、液体の性質を変えることができます。
例えば、pHの制御。
・プラズマを薬剤として生体に投与することができるかもしれません。