■研究の概要
硬くてもしなやかな材料は、高分子だけでなく金属やセラミックス等のあらゆる材料分野で求められています。しかし、弾性率および強度と靭性の間にはトレードオフの関係があり、硬くすれば脆くなり、粘りを出すと柔らかくなってしまいます。本研究では、既存の高分子材料では実現不可能な力学的機能を、ネックレス状分子のポリロタキサンから成る透明樹脂によって発現させる技術を開発してきました。ポリロタキサンを用いた樹脂の強化に関する研究は数多く報告されていますが、ゴム状態ではないポリロタキサンが硬い樹脂の中でどのように機能しているかはほとんど理解されていません。我々はガラス状態のポリロタキサンの変形と破壊の過程を明らかにしながら、合理的な材料設計指針に基づく樹脂の強化を行っています。